予防接種について

vaccinationイメージ

予防接種は、事前に細菌やウイルスなどの病原体から作り出されたワクチンを体内に接種しておくことにより、ある特定の疾患を予防するための注射です。これにより、体内に免疫が作られ、その病気に罹りにくくなったり、もし罹患しても軽くて済むようになります。

さらに、ご自身が罹患しにくくなるだけでなく、周囲の方に感染症を流行させるリスクを減らす(集団免疫)という目的も期待できます。予防接種はご自身のため、そして周囲の皆さまのために行われるのです。

予防接種料金一覧

子宮頸がんワクチン
(シルガード9)
50,000円
B型肝炎ワクチン 10,000円×3回接種
A型肝炎ワクチン 10,000円
インフルエンザワクチン
(チメロフリー)
5,000円
シングリックス 1回50,000円
コロナワクチン 10,000円
肺炎球菌ワクチン 20,000円
バクニュバンス 15,000円
破傷風 10,000円 ×3回接種
MRワクチン 10,000円
おたふくかぜ 10,000円
風しん 10,000円
麻しん 10,000円
狂犬病 15,000円
プレベナー 15,000円
ガーダシル 15,000円
水痘ワクチン 10,000円

予防接種の種類

子宮頸がんワクチン(シルガード9)

ヒトパピローマウィルス(HPV)は、性交渉のある女性の半数以上が生涯で一度は感染すると考えられている一般的なウイルスで、子宮頸がんだけでなく、膀胱がん、咽頭がん、肛門がん、膣がん、外陰がんなど多くの病気の発生に関与しています。
シルガード9ワクチンはHPVの9つの型(HPV6,11、16、18、31、33、45、52、58)に対応し子宮頸がんの原因の約90%をカバーしているワクチンです。
接種回数は初回接種から2ヵ月後に2回目、その6ヵ月後に3回目の計3回接種となります。

B型肝炎ワクチン

B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)が、血液や体液を介して感染する肝臓の病気です。
北米や西欧、オーストラリアなどを除く多くの国でB型肝炎ウイルスのキャリアが存在しており、特に、中国、東南アジア、中南米およびアフリカ諸国では保有率が高いことが知られています。
感染の原因はB型肝炎ウイルスが血液や体液を介してヒトからヒトに直接、もしくは汚染した器具等を介して感染します。無防備な性行為、不衛生な医療機関での手術などが原因となりますので渡航先での無防備な性行為や衛生状態が保証できない施設での診療はご注意ください。
B型肝炎にはワクチン接種が有効です。抗体獲得に個人差があり、3回接種しても抗体がつかない方もいらっしゃいますので、3回接種後1か月以降に抗体検査をして陽性であるか確認することが大切です。

A型肝炎ワクチン

A型肝炎ワクチンとはA型肝炎の予防接種に効果が期待できるワクチンです。
A型肝炎は北米や西ヨーロッパ以外の国ではまだまだ感染者の多い症状で、A型肝炎ウイルスに汚染されている水道水、食物を摂取することで感染するだけではなく、糞便からも感染する可能性がある急性肝炎です。潜伏期間はおよそ2週間から6週間とされており、発熱、食欲不振等が表れるもので、重症者は入院が必要になる場合もあります。
北米や西ヨーロッパ以外の国への渡航を考えている方であれば、接種をするようにしてください。
1回の摂取だけでおよそ1年効果が持続するとされています。そのため、短期的な旅行であれば一度だけでも十分ですが、3回接種でその後5年程効果が持続します。

インフルエンザワクチン(チメロフリー)

インフルエンザは、インフルエンザウイルスが原因となって発症する呼吸器感染症です。1~2日間ほどの潜伏期間を経て、38℃以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、寒気などの全身症状のほか、喉の痛み、鼻水、せきなど風邪のような症状も現れます。とくに小児、基礎疾患のある方、高齢者の方などは重症化しやすいので、事前にインフルエンザワクチンを接種して予防するようにしてください。このワクチンは、接種してから効果が出るまでに約2週間かかりますが、その効果は約5ヵ月間持続します。日本の場合は例年12月~翌3月頃にインフルエンザが流行しますので、毎年12月中旬頃までに接種すると良いでしょう。

シングリックス(帯状疱疹ワクチン)

これまで水ぼうそう(水痘・帯状疱疹ウイルス)に罹患している方が対象になります。水ぼうそうの原因でもある水痘・帯状疱疹ウイルスというのは、皮膚症状などが治まった後も体内の神経節に潜伏し続け、過労や加齢によって免疫力が低下すると再びウイルスが活性化し、神経節に沿って赤い発疹や水ぶくれがみられるほか、チクチク、ピリピリした神経痛が起きるようにことを帯状疱疹と言います。

シングリックスは2020年に登場したのが不活化ワクチンで、ウイルス感染性をもたない組換えワクチンとなります。
シングリックスは2~6ヶ月の間隔を空けて2回接種が必要となり、費用も高額ですが、妊婦や免疫が低下している人も接種が可能です。
また、シングリックスは水痘ワクチンより予防効果が高く、効果の持続期間も長いと言われ、50歳以上のいずれの年齢層でも高い帯状疱疹予防効果が示されており、帯状疱疹後神経痛の発症も減らす効果も期待できます。
また、シングリックスは不活化ワクチンのため、6日以上あければ他のワクチンを接種することができ、免疫抑制薬使用中や化学療法中など免疫抑制状態にある方でも接種が可能です。

肺炎球菌ワクチン

肺炎は、細菌やウイルスなどが原因となり、肺に炎症を起こしてしまう病気です。全身の免疫力が低下している際に起こりやすいといわれています。とくに65歳以上の高齢者、基礎疾患を持っている方は代表的な死亡原因となっているので、事前に肺炎球菌ワクチンを接種しておくと良いでしょう。このワクチンを接種すれば、肺炎球菌による肺炎などの感染症を予防するほか、重症化のリスクを低減させる効果が期待できます。

破傷風ワクチン

破傷風菌は土壌中に存在するため、どこでも感染し得ます。主に傷口から体内に侵入し、産生された毒素によりしびれなどから始まり、最悪の場合は全身けいれんと呼吸困難で死に至る病気です。自然感染により免疫ができる病気ではないので、予防接種のみが唯一の予防になります。
現在では、生後3~12ヶ月の間と11~13歳の間に予防接種が行われ、以降は、5~10年に一度追加接種が必要でとなります。
1968~1981年の間に生まれた人や、破傷風ワクチンを接種していない人は、破傷風の免疫を持っていない可能性があります。また最終接種より10年以内に追加接種を受けていない人は、追加の予防接種をおすすめします。

MRワクチン

麻疹(はしか)と風疹を予防するためのワクチンで、麻疹風疹混合ワクチンとも呼ばれています。これは小児の定期予防接種のひとつで、1歳を過ぎたら2歳までに1回、小学校に就学する直近1年の間に1回の計2回の接種となります。

ただこのような接種回数になったのはつい最近のことで、40~50代の男性では風疹ワクチンの接種を1回も受けていない、あるいは、同ワクチンを受けたとしても1回だけという世代の方もいます。そもそも風疹という病気は、感染力は強いものの、発症しても症状自体は3~5日程度で治まることから「3日ばしか」という名前で呼ばれています。ただ妊娠間もない女性(妊娠20週頃まで)が風疹に感染すると胎児に母子感染し、生まれてくる赤ちゃんが先天性風疹症候群の障害(難聴、先天性心疾患、白内障 など)をもって生まれることがあるので要注意です。

なお妊婦にはMRワクチンを打つことはできません。したがって、風疹に対する免疫が弱い(未接種もしくは1回の接種)とされ、将来的に子どもを授かりたいとする女性や、妊婦と同居するご家族の方については、感染防止対策としてMRワクチンを接種されることをお勧めします。

おたふくかぜワクチン(ムンプスワクチン)

おたふくかぜとは、おたふくかぜウイルスによる感染症です。2~3週間の潜伏期の後に、両方またはどちらかの耳の下(耳下腺)が腫れてきます。あごのあたり(顎下腺)が腫れることもあります。
軽い症状で終わることが多いですが、中枢神経系や聴覚・睾丸・卵巣などの臓器が侵されたときには重症となる例も多く、場合によっては後遺症が残る危険性もあります。

おたふくかぜワクチンは弱められたおたふくかぜウイルスの生ワクチンで、1回の接種で90%以上の割合で免疫を獲得できます。

なおワクチンの副反応としては、おたふくかぜの症状である耳から下側の耳下腺の腫れが1%前後に認められます。また、無菌性髄膜炎も、ワクチン接種後2週間から3週間に約1万人に1例の割合で認められます。しかし、どちらも自然のおたふくかぜの感染による合併症と比べればはるかに低い頻度ですから、おたふくかぜにかかりやすい年齢、特に10歳までにワクチン接種を済ませることが望まれる予防接種です。

風しん

風疹ワクチン(MR含む)も小児の定期接種で2回接種となったのは、2000年4月2日生まれの方からです。同ワクチンを1回もしくは1回も接種してないという方は(風疹に対する)免疫が十分でないことが考えられますので、接種されることをお勧めします。

なお妊婦さん(とくに妊娠初期)が風疹に感染すると胎児に感染し、先天性風疹症候群(難聴、白内障、先天性心疾患 など)という障害をもって赤ちゃんが生まれる可能性もあります。そのため、これまでMR(風疹)ワクチンを2回接種していない、風疹に対する免疫が十分でない方で、将来的に子どもを授かりたい女性(妊娠中は接種不可)、妊婦さんと同居されているご家族の方は、そのようなリスクを避けるためにも接種することが望まれます。

麻しん

このワクチンは、麻疹(はしか)を予防するためのものです。小児の定期予防接種の対象となっていますが、その場合は麻疹・風疹混合ワクチン(MR)が使用され、計2回(1歳~2歳未満の間に1回、小学校入学前の直近1年の間に1回)の接種(推奨期間に接種すれば公費負担)となっています。小児の定期接種で2回と決まったのは、2000年4月2日生まれの方からです。これまで2回接種されていない方は、免疫を向上させるためにも計2回の接種をされることをお勧めします。

狂犬病

事前にワクチン接種を行うことで(曝露前接種)、動物に咬まれたり引っ掻かれたりして狂犬病ウイルスが体内に入った際に、規定の処置とあわせて発症を確実に予防することができます。
狂犬病ウイルスは人間や犬だけでなく、全ての哺乳類に感染します。狂犬病ウイルスはアルコール消毒、石鹸で手を洗う、乾燥や熱で容易に死滅しますが、一旦傷口などから体内にウイルスが侵入すると、1日に数~数十mmの速さで神経系を通って脳に向かって進み、発症すると治療法がなく100%死亡します。
狂犬病の発生が報告されている国や地域で、哺乳動物と接触する可能性がある場合は事前に曝露前接種を推奨します。実際にそれら動物との接触があった場合は、曝露前接種の有無に関わらず、速やかに曝露後接種を行うようにしてください。

プレベナー(肺炎球菌ワクチン)

高齢者肺炎の原因の第一位である肺炎球菌に対するワクチンです。ニューモバックスと並んで肺炎予防に有効です。
プレベナー13は「13価結合型ワクチン」といい、ニューモバックスに比べて抗体産生能が高く、効果が持続します。
ニューモバックスと違い、1回の接種で免疫が持続し肺炎予防効果があり、ニューモバックスと併用することで、より強い肺炎予防の効果が期待できます。

ガーダシル

ヒトパピローマウィルス(HPV)は、性交渉のある女性の半数以上が生涯で一度は感染すると考えられている一般的なウイルスで、子宮頸がんだけでなく、膀胱がん、咽頭がん、肛門がん、膣がん、外陰がんなど多くの病気の発生に関与しています。
ガーダシルはHPVの中でも4つの型(HPV6、11、16、18)のウイルス感染を防ぐことができます。接種回数は初回接種から2ヵ月後に2回目、その6ヵ月後に3回目の計3回接種となります。

水痘ワクチン

水痘(みずぼうそう)を予防するワクチンです。
水痘(みずぼうそう)は、発熱と全身性の発疹が主な症状ですが、多くの合併症が知られており、成人や妊婦、免疫不全患者等は特に重症化のリスクが高く、命に関わる病気です。
このワクチンの接種により水痘(みずぼうそう)に対する抗体ができ、かかりにくくなります。
近年、免疫が少ない人、また子供の頃にワクチンをうけていない人や回数が少ない人等(現在は2回接種ですが、過去には 1 回のみの接種だった時期があります。)の流行が懸念されているため、免疫が少ない人、ワクチンをうけたことがない(もしくは1回しかうけていない)方は、重い合併症を防ぐとともに、ワクチンをうけたくてもうけることのできない妊婦さんや免疫不全の患者さん等に感染を広げないためにも、ワクチンをうけることが強く進められています。

副反応について

ワクチン接種により、副反応が出ることがあります。具体的には、接種部位の痛みや腫れ、赤み、疲労感、掻痒、発疹、倦怠感、発熱などがあります。通常は1~3日程度で治まりますが、長期間続いているときは当院までご相談ください。なお、アナフィラキシーショックを引き起こしたときは、一刻も早く当院をご受診ください。